エピソード6『金継ぎ』“Kintsugi”
あらすじ
ニコールはジョーにベルリンの意外な一面を見せる。そして、そのことは彼に新しい道を進ませる。一方、ジュリアナは新たな任務として、スミスの家族と親しくなっていく。田上は家族と再会を果たす。だがその再会は、再び別れを予感させるものだった。
ネタバレ感想
目が覚めてもまだアチラ(コチラと言うべきでしょうか?)の世界に居る田上大臣。紀明とジュリアナが主体となって自宅で行われていたのは『原爆反対』の会合でした。
奇しくもどちらの世界線においても原爆投下を止めようと動いているジュリアナ。
とっととサンフランシスコの原爆被害に関係しているらしいジョージと危機回避の為の次の段階に進みたいジュリアナですが、警戒心の強いジョージにはまだナチスのスパイ疑惑が晴れておらず、ナチス社交界の女王だというヘレンに取り入ってさり気なく周りと親しくなるよう命じられました。
ディナーのお礼に花を届けに来た流れで、あくまでも控えめに誘導する事でカードゲームをしに遊びに来ていたご近所さんに紹介してもらうチャンスを掴んだジュリアナ。
スミス家では、アドラー医師の妻アリスと、〈メアリー・ドーソン〉、〈ルーシー・コリンズ〉の3人がお茶をしながら『ブリッジ』を楽しんでおりました。
メアリーが主婦の世間話的な感覚で、子守がユダヤ人の遺伝子を持つ事に嫌悪感を示し「問題のある遺伝子は強制検査すべきよ」と言い放ったただけでなく、『市民の義務』として当局へ通報したと話しております。息子を危険に晒す脅威となり得る存在が身近な所にも居る可能性を感じ心ここに在らずなヘレン。
そんなヘレンをよそに、ちゃっかりルーシーと二人になる機会を作ってさり気なく彼女のセンスを褒め、スミス夫妻と親しい事を会話に挟み込み外堀を埋めていくジュリアナなのでした。
結婚5年になるルーシーの夫〈ヘンリー〉は、ゲッベルス大臣直属で国家の啓蒙をしており、テレビ放送の責任者を任されている立場だとか。
ルーシーはなかなか子供が出来ない事にかなりの不安を抱いているようで、母親になれなければ価値がないも同然の価値観な帝国に生きる限り、不妊が確定的になるのは絶望を意味するようです。
トーマスの元に、ヒトラー青年隊支援団に選ばれた事を報せる手紙が届き、南アメリカで1ヶ月間啓蒙活動をするという活動内容にザワつくスミス夫妻。
ナチス的に名誉な事でしょうし、トーマス本人は驚きながらもどこか誇らしげで、辞退や拒否と言った選択肢はまず無さそうですが、本人にも知らせていない難病の症状がいつ出るかも分からない状況で1ヶ月も家を離れて海外で生活するとなればそりゃ大ピンチです。
居ても立っても居られないヘレンは夫の職場まで乗り込んで行きますが、スミス大将はトーマスを海外へ送るも、道中ユダヤ人に拉致され目的地には現れなかったというシナリオを描いておりました。
「世間はナチス高官の家族を狙ったテロ行為だと思うだろう」とナチュラルに罪を被せていくスタイルは、ユダヤ人を同じ人間とも思わない扱いをしていた親衛隊の冷酷さが滲み出ております。
スミス大将自ら陣頭指揮を執り、ヘレンは子供を奪われた悲劇の母親として、夫婦共々必死に息子を捜し続けるもトーマスは見つからない、という筋書きです。ある程度の権力者にしか実行できない作戦ですな。
トーマスはそのまま現地南アフリカでのんびり暮らして行かせるつもりらしいのですが、本人の反発はどうなるでしょうか。そして、両親のどちらかが現地で面倒を見てやれる訳でも無さそうなのでそこらへんの支援も気になります。金で解決か?
しかしトーマスには計画も病気の事も伏せたまま出発させるようです。どうなることやら。
生命の泉で生まれたバックボーンを持つジョーを崇めるように扱うメイドの〈シルビア〉に大層な歓迎を受けながら、壁に飾ってあった家族写真に目を止めたジョー。
エルザがジョーを連れてベルリンを去った後、ホイスマン首相は〈マルゴット〉と出会い二人の男の子に恵まれたらしく、ジョーにとっての腹違いの弟達は既に空襲で亡くなっているそうです。
だからこそジョーへの執着に近い感情があるのかもしれません。
ジョーはニコールを呼び出し、父親の差し金での出会いだったのかと問うと、ニコールも隠す事なく「そうよ、あなたがベルリンに残るよう説得を頼まれたわ」と明かします。
仲違いしそうになったところで、「出会いからやり直そう」と和解した二人は改めて自己紹介を済ませました。ジュリアナの事はすっかり忘れたのでしょうか?
ニコールも生命の泉で計画的に生まれて来た子供らしく、それでも自由に自分らしく生きる彼女にどんどん惹かれていくジョーですが、なにぶん女スパイ感が強過ぎるんですよね(笑)
ニコールに連れられて若者が集まる色々とぶっ飛んだパーティーに参加したジョーは、進められるがままにLSDを試してトランス状態に。
ジュリアナの幻覚を見て懺悔する程には心残りだったようです。幻覚の中のジュリアナは自分はまだ生きていると言いますが、これがきっかけでジュリアナ生存説に希望を見出すのでしょうか?トリップしながらニコールとキスしているしでフラフラのジョーですが…。
ニコールは〈ハンス〉と付き合っているのかと思いきや、ハンスは〈モニカ〉に夢中だと言った矢先に「モニカはあなたに気があるし寝てみれば?」と貞操観念ガバガバな連中です。
ホイスマン首相の家へ帰ったジョーには心境の変化があったのか、拒んでいたスーツを着込んでナチスの腕章まで付けそうな気配がありましたが、これから正式に親衛隊に入隊する気でしょうか?
岡村は燃やされた『高い城の男』の隠れ家跡地を発見してナチスに報告します。
スミス大将が責任者となって、岡村にも報酬を支払いフィルム捜索の委託をしているようですね。
前話のスミス大将の部屋に木戸が訪れたシーンからたびたび戦争の功労者に贈られる勲章がフューチャーされていて何かの伏線かと気になっております。
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▼次回、エピソード7