エピソード5『新たな奇跡』“The New Colossus”
あらすじ
太平洋合衆国に対する大ナチス帝国の挑発が続く中、何とか窮地を脱したジュリアナは、帝国の秘密を探り出す。ジョン・スミスと政敵の攻防も続いていた。大ナチス帝国は「イヤー・ゼロ」というプロジェクトを進める。ジョーとジュリアナの間には、大きな出来事が起こる。
ネタバレ感想
どうしても心理療法を再開したがったヘレンに対して、スミス大将は担当医の元まで出向いてヘレンが療法中に何を口走っても口外するなと丁寧な脅しをかけました。
しかし、トーマスの国外逃亡計画のために雇った反ナチス工作員のゲリラは、レーダー少佐に手配させていたらしくうっかりその情報に辿り着いてしまったフーヴァーとロックウェル元帥。その立場は使うでしょうが、まさか書面にまで残した公式的な雇い方をしているとは…。
トーマスの誘拐画策までバレた上に、今度はヘレンの殺人の証拠まで集めるそうで、証拠が揃い次第ヒムラー長官に提出しようと意気込むフーヴァー。
アリスの家を現場検証した際に血のついたカフスボタンが出てきたと言って部下を連れたフーヴァーがヘレンしかいないスミス家に乗り込んできました。
勝手にクローゼットを開けられ、クリーニング済みのジャケットと照らし合わせたフーヴァー達はその取れたボタンがどう見てもヘレンの服についていたものだと見せ付けるかのよう。
必死に弁明すれば「私はあなたの味方だ」と言ってさっさと引き上げていくフーヴァー。
揺さぶられておりますなぁ。夫からフーヴァーが敵だと言われても、動かぬ証拠がありながら逮捕されなかった事で味方が居ると信じたいヘレンは聞き入れませんし、まずはヘレンを掌握しようと言う作戦なら効果は絶大です。
フーヴァーの元に怒鳴り込んだスミス大将は逆に、「引退すれば全てを忘れてやるからそれで手を打て、さもないと反逆者として処刑され数々の恥辱を受けることになる」と要求されてしまいました。
あーあ、殺されるぞ…と思いましたが、スミス大将がヒムラー長官から呼び出された時にはドヤ顔のロックウェルも同席しており、スミス家の悪事を次から次にペラペラと糾弾していきます。
これはもはや、ヒムラー長官の方と先に取引をしていてロックウェルと後ろに控えるフーヴァーがまとめて処分されるのか?と思いきや、途中で口を挟んだフーヴァーが「元帥の言っている事は何一つ根拠がなくご乱心です」的な助け舟を出したのです。
なるほど、自分の嘘と同レベルかそれ以上に漏れるとまずい秘密をキッチリ握っていたスミス大将は、フーヴァーを脅し返して証拠を抹消させていたんですね。
親衛隊幹部を陥れようとしたロックウェルこそ反逆行為だと厳しく言い渡され連行されていきましたが、ヒムラーにとってスミスが罪を犯そうがそもそも大した問題ではなかったようです。
大勢の前で証拠付きで糾弾されてしまえば示しをつけるためにもスミス大将も処分されていたらしいのですが、今回のように取り繕える範疇であればどんなにグレー寄りでも見逃しそうな話ぶりのヒムラー長官。
「部下に秘密を委ねるとは軽率だぞ、秘密が漏れぬように細心の注意を払え そして問題がまだ一つ残っていて、君の妻はレーダーと同様に危うい存在だよ」と。手に余るようなら長官自らが対処すると忠告されたそのままの流れで、スミス上級大将は国家元帥代理に任命されたのでした。
出世の階段を上れば上がるほど雁字搦めになっていき、上司からの圧は強まり敵も増え手に負えない感が凄い…。
【大ナチス帝国】“キューバ”ハバナ市で自身の退任とスミスが後釜の地位を獲得した情報を紙面で見るロックウェル。
てっきり死刑かなと思っておりましたが、ナチス領でのんびりできるくらいには許されるんですね。
返り咲きを狙っているロックウェルの下世話なお遊びは、何をこんな長尺で見せられているのか…と言う気になりましたが、しっかり盛り上がりのピークで傭兵に背後からナイフを突き立てられたロックウェル。
自分の秘密を握る敵をスミス大将がみすみす生かしておくはずもありませんでした。
ジュリアナお得意のハリケーン型暴走が始まっております。
ジョーに尾行されるも、すんでのところで巡回していた憲兵隊が姿を見せた事で何とか助かった事を話した上で、今の世界と違う世界のジョーの記憶を混同してはいけないといくら田上大臣が止めても聞く耳を持ちません。
「それが悲劇を招いたとしても知りたいんです」やないわ!巻き込まれる田上大臣の身になっていま一度よく考えて頂きたい。
ちゃっかりチャカまで隠し持っていたジュリアナが張り切って動き始めてしまいました。
ジョーもジョーで、いまいち再教育による洗脳済みなのかどうなのか分かりません。
ヒムラー長官から田上大臣の始末に付け加えてジュリアナの事も探るよう指示されているようで、ラッカワナについて何か隠しているらしい事や、アベンゼンの居所も知っているはずだと報告するジョー。
『ニーベンベルト計画』なる計画を推進したいらしいヒムラー長官は、アベンゼンを仲間に引き入れる事が出来れば計画が勢いづくと食い付きました。とにもかくにもまずは田上大臣抹殺との事ですが。
ジョーの部屋を訪ねたジュリアナは、ジョーがシャワーを浴びている間に大胆な家探しを開始。
アタッシュケースの細工を見つけ、極秘書類の入ったファイルを盗み見ていきます。中には田上大臣についての資料も。
そして【プロジェクト701ニーベンベルト】という資料に、粒子加速器の設計図や、ラッカワナ群の地図、アーネンエルベ研究所の報告書が入っているのを確認しました。
慌てて蹴躓いた拍子にあのバッジまで見つけるのですが、そこへジュリアナが隠し持っていたはずの銃を手にしたジョーが出てきます。あのバッジは“命の泉”の子の証なんですね。
同じ物をつけている人間を見たと話すと、まるでその襲撃を知っていたかのように場所を確認するジョー。
ついでのようにニーベンベルトについてジュリアナが尋ねたところ、「別の世界 パラレルワールドでいくつも存在している、大ナチス帝国はそれを征服していくんだ」と親切にも答えてくれました。
ジュリアナに銃を突きつけ、田上とアベンゼンのところへ連れて行けと脅しますが「吐きそう!」とトイレに駆け込んで鍵を締めさせる猶予を与えるくらいには慈悲のあるジョー。なんでやねん。
ジュリアナが立て篭りながら急いで凶器を探し始めてジョーもようやく扉を破り始めます。
扉をぶち破ったジョーの首をジュリアナが振り向きざまに容赦なくカミソリでスパーーーン。ブシュー。
あまりにも無慈悲に、そして唐突にジョーがお亡くなりになる羽目に…!
えぇ…まさか過ぎる。ここまで来てもまだジョーの再教育成功に半信半疑でしたが、ジュリアナさんは「本性見たり!」と言わんばかりに秒で片付けてしまいました(笑)
そして極秘書類を持ち出し指紋を拭く冷静さまで見せてホテルの部屋を去るジュリアナ。さすが場数踏んでます。ナチスの工作員なんて訳ないのです。
- 作者:フィリップ・K・ディック
- 発売日: 2012/11/30
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▼次回、エピソード6