エピソード10『イヤー・ゼロ』“Jahr Null”
あらすじ
大ナチス帝国の計画を阻止しようとするジュリアナは、危険な状況に陥る。ヒムラーとジョン・スミスはイヤー・ゼロの盛大な式典を行う。成功を収め続けてきたスミスだったが、ある痛手を受ける。目的を果たしサンフランシスコへ戻ってきた木戸は、友人のために尽力する。田上は難しい決断をくだす。エドはサンフランシスコへ戻り、チルダンと再会する。
ネタバレ感想
キャロラインの命を守るため、自らスミス元帥率いるナチス親衛隊に従う道を選んだアベンゼン。やはりキャロラインはアベンゼンの妻なんですね。初登場は別世界から来たトルーディを匿い始めた時でしたっけ?アベンゼンと共に暮らし、寝室も一緒でほぼ夫婦確定ではあったものの、明言されたのは初めてな気が。
アベンゼンを捕らえたと報告を受けたヒムラーは、スミス元帥にポコノへ来るよう指示を出しました。
ジュリアナ、ワイアット、そしてレジスタンスの一行も封鎖された坑道に入っていて、全員がラッカワナ炭鉱に集結してきております。
ニーベンベルト計画で作られた巨大なマシンは何が何やら…という感じですが、現実にも今もどこかの国でこんな実験が秘密裏に行われている可能性もゼロではないんだよな、と考えるとより一層ロマンを感じます。
ヒムラー長官やスミス元帥達が立ち会っての実験が始められ、拘束された被験者達がマシンに突っ込むコンベヤーに乗せられました。
ちょうどジュリアナ達も、その光景を通気口から覗く形で、すぐ側まで接近しています。
4名の被験者が凄まじい磁力が発生する中で強い光の中に消え、故障したコンベヤーまで確認に行くとそこには人の形すら保てなかった肉片と滴り落ちる血液の中に被験者の認識票だけが遺されておりました。
この胸糞の悪い状況で、メンゲレは3つの認識票を高く掲げて、「3つでした!コンベヤーの遺体は3体です、4体ではない」と誇らしげに報告します。
若い女性の遺体がなく、彼女を別世界に飛ばしたのだという実験の成功を喜ぶメンゲレ。
ヒムラー長官もこれに気をよくし、「被験者の数も実験の規模も拡大して成功率100%を目指せ」と高らかに宣言します。そして、一人とんでもない状況に置いてけぼり状態なジョンには「禁輸措置は解除しろ」と命じました。ニーベンベルト計画を知る田上大臣を始めとする日本サイドから余計な邪魔が入らぬよう、石油ぐらいくれてやれというなり振り構わない姿勢です。
そんな矢先にコソコソと覗き見していたジュリアナ達の存在がバレ、兵士達と銃撃戦に。
投げられた手榴弾で仲間と分断されたジュリアナは、爆破に倒れ、しかしまだ、息があるところをナチスに捕らえられてしまったのです。
顔馴染みとは言え、スミス元帥に何故ああも挑発的な態度を取れるのか…恐れ知らずなジュリアナに見ていてハラハラさせられました。
トーマスの話まで出して心を抉ろうとするのがこれまたキツい。ジュリアナが捕まっている側で今にも拷問されて殺されてもおかしくない状況なのに、そのジュリアナに対して血も涙もないんかい!と思わせるのって凄くないですか?
ジュリアナの身を案じるワイアットは、NYに居る昔の友人〈リッチー〉を訪ねて、違法なポルノ関連の商売をしている彼を半ば脅す形で協力させるようです。
アベンゼンの情報を探るため、戦時中の記録を洗わせたスミス元帥。本名は〈エイブ・ホークス〉、軍の記録映像係を担当していたそうですが、かつて米軍の中尉として活躍していたスミスとアベンゼンは、同時期に軍に所属した言わば仲間だったというのが胸熱ですね。
激動の中、ようやく自宅に帰ったスミス元帥はヘレンが娘達を連れて出かけた事を知りますが、家族の行方は掴めないまま次の仕事に行かねばなりません。
『イヤー・ゼロ』の式典では、自由の鐘に続き、自由の女神まで破壊され、アメリカの象徴がどんどん亡きものにされていく光景が国を挙げて祝われております。
イヤー・ゼロの功労者であるニコールはさぞ褒められるのかと思いきや、あのクラブを摘発したのがヒムラー長官自身だったらしく、『背徳行為に溺れた罪』は許されるものではなく、式典が済んだらベルリンへ送還され再教育を受けさせると宣告され、そのまま兵士の手で連行されてしまいました。
市街では暴動が起きており、その様子を見に来ていたヒムラー長官は突然銃弾を受け倒れます。
ワイアットが仲間に狙撃させていたらしく、ジュリアナを取り返すため?なんという大胆な(笑)
ヤクザの大神に話をつけたという木戸警部は、以前から特別な関係をチラつかせていた〈ジーナ〉を訪ね、「君はもうホステスではない」と言って大金の入った封筒を渡し、彼女に自由を与えました。これは話の本筋に関わってくるのでしょうか?
エドとジャックはチルダンの店を訪ね、『処刑済み』と書かれたフランクの手配書を見せます。
わざわざここまで来たのは、どうやらフランクの遺志を引き継いで自分達の未来を守る為、そしてフランクの夢を叶える為、チルダンを誘いに来たそう。
なんだかんだで放っておけないチルダンの協力を経て、3人はフランクの描いたイラストをデカデカとした垂れ幕にして塔の上から掲げたのでした。
ヘレンから連絡が来るも、「愛してるわ…でもあなたから逃げたの」と電話を切られてしまったスミス元帥。
ヒムラーの手術も終わらないまま、焦燥感に駆られる元帥は再度拘留中のアベンゼンと対峙します。
ニーベンベルト計画の実験で一人の被験者が別の世界に渡った話をすると、「彼女が成功したのは向こうに自分がいないからだ」と答えるアベンゼン。
どうやら、同じ世界で同時に同じ人物が存在するというのは不可能らしく、もしそうなった場合どちらかが死ぬことになるのだと
同じ頃、独房の中で瞑想を始めていたジュリアナの周りに異変が起こり始めます。
すぐにアベンゼンの部屋から駆け付け、瞑想中のジュリアナを撃ったスミス元帥でしたが、銃弾が肩を貫いたと同時に忽然と消えたジュリアナの姿。
残ったのは被弾した際に飛び散った血痕だけでした。
ラストには、リッチーの元を去るワイアットがフィルムのコピーを複製して世界に広めろと言い残して大量のフィルムを積んだトラックを出発させます。さてさて、ファイナルとなるシーズン4はどう動いていくのか。
- 作者:フィリップ・K・ディック
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▼次回、S4エピソード1