エピソード10『所有権争い』“Bones of Contention”
あらすじ
アメリカ先住民の博物館で、研究員が殺されるという不可解な事件が起きる。博物館は連邦政府の土地にあるため、FBIが捜査を担当する。
ナンバーズ 天才数学者の事件ファイル シーズン2 <トク選BOX> [ ロブ・モロー ]
ネタバレ感想
今回の事件
連邦政府の土地に建てられた民族博物館で、研究員の〈ジェニファー・アバナシー〉が階段から転げ落ち亡くなっているのが発見されます。
外傷は頭部のみ、靴は片方無くなっているものの所持品を盗まれた形跡は無し。犯人が何を目的としたのかは不明ですが、手掛かりになりそうなのはジェニファーの手帳に書かれていた謎の数式です。
事件解決の方程式
手帳を見せられたチャーリーとラリーは、一目でそれが発掘品を手掛かりに史実を解明する計量考古学の方程式で、対象物の年代を探る炭素年代測定の公式だと気付き、変数を分析することで彼女が何の年代を調べていたかの特定を進めます。
館長曰くジェニファーが使うのはおかしいらしい測定器へのアクセスログが見つかり、何らかの秘密の検査をしていたことが発覚。
ジェニファーの大家から「既婚者の上司が送って来ていた」と裏が取れて、上司の〈ケネス・ヒル博士〉の愛人だった疑惑が浮上すると、妻にバレたくない博士を捜査に協力させるのは簡単です。
博士曰く、地元の埋蔵品などといった個人の所有物を時々鑑定するらしく、ジェニファーが深夜にコソコソ鑑定していたのは、先住民が権利を主張したりして所有権争いが絡むからだそう。
発掘品は部族に返すことが法定化されており、博物館や研究員側からすればそりゃ隠れてでも手元に置いて鑑定したいでしょうな。
しかし館長も知らなかったという事でかなり個人的な調べ物だったのですかね。
チャーリーの特定の結果、調査していた年代はかなり古い時代らしく、1万年前の人間の頭蓋骨を鑑定していた可能性が高まりました。
最古の人骨を調べていたとあっては、考古学的に貴重なだけでなく、先住民に関するものは部族が所有権を主張する最たるもの。
発掘品の取引がある闇業者をあたったり、頭骨から想定される顔面像を出してみたところ、アジア系の先住民ではなくヨーロッパ系の人物像が浮かび上がったり…あくまでも科学のために調査を望んでいたヒル博士も裁判で戦ったとのことですが、調査してみてそもそもこの地から発掘された1万年前の人間がウィーヤーナ族なのでないとすれば、今現在のウィーヤーナ族の土地の使用権は脅かされ、莫大な利益が絡むカジノ経営権も危ういものになるということ。
そうこうしているうちに、失う物は何も無くなったヒル博士が、裁判でも争って敗けた〈クリアウォーター首長〉の自宅に強盗に入り、部族の記録を奪う事件まで起こってしまいます。
最もらしい理由で捜査協力を拒否し続ける首長の弁護士〈トーマス・モリス〉がどことなく怪しい…。
しかし蓋を開けてみれば、血縁関係の希薄さから部族を追放され、カジノの収益を受け取れなくなった部族追放者のリストに、ジェニファーの第一発見者でもある夜警の〈フランク・ロペス〉の名前が。
フランクが直接手を下した訳ではなく、犯人を館内に引き入れた殺人幇助をしていたようで、ジェニファー殺害の真犯人はクリアウォーター首長でした。
ここまでだとあまりにストレートな犯人像ですが、その動機がカジノの利権を守るためではなく、その真逆で弁護士トーマスの指揮で部族が会社のようになり、血縁関係など関係無く皆が一つの家族だった頃の部族を取り戻したいという想いから来ていたという意外さ。
なんとも言えない皮肉なしがらみでした。
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▼次回、エピソード11