エピソード2『飛ぶ星』“The Flying Stars”
あらすじ
貴族の令嬢、ルビー・アダムズの誕生日パーティーに招かれたブラウン神父とマッカーシー夫人は、バスに乗り遅れたので、領地を横切って邸宅に向かっていた。しかし、到着すると家政婦のスージーから、誕生日パーティーは中止になったと聞かされる。
ネタバレ感想
〈ルビー・アダムズ〉の誕生会でアダムズ家に招待されたブラウン神父とマッカーシー夫人。
2人が屋敷に辿り着く少し前に、本日の主役であるルビーが家庭教師の〈ジョン・ヴァンアート〉と婚約を発表しようとしていた企みが両親にバレて、アルコール依存の母親〈アン・マリー〉は「下層階級の共産主義者とは結婚させません」と断固反対の声を上げていました。
更にはジョンをそのままクビにした酔っ払いの母親。母親だけかと思いきや、父親も娘と家庭教師の結婚には反対のようです。
貴族の令嬢との格差恋愛と言えば、『ダウントン・アビー 』のシビルとトムを彷彿とさせますな。
それにしてもスージーは色んな家庭で仕事をしているのですね。
ようやく遅刻しながら辿り着いたブラウン神父達に、誕生会は中止になってしまったのだと告げるスージー。
住み込みで働いていたジョンは荷物を纏めてこの家から出て行き、着いて行こうとした娘の前に立ちはだかる〈アダムズ大佐〉。
その場に姿を現さなかった母親は、既に変わり果てた姿で湖畔の桟橋の下から発見されました。
バレンタイン警部補は、単なる不幸な事故に過ぎないと考えていますが、首の傷が気になるブラウン神父。
誕生会に参加するためアダムズ家を訪れていたフェリシアは、内密にアン・マリーが泥酔状態だった事を神父に話しています。
20年もケニアに居たアン・マリーの弟〈ジェームズ・トゥルーラブ〉がサプライズ帰郷しており、何も知らない様子の彼に部外者が身内の訃報を伝える気まずさよ。
通夜の場でルビーが言った「ボートでバランスを崩したのかも」という言葉に引っ掛かりを覚えたブラウン神父は、例の桟橋と繋がれたボートを使って検証しております。
血の付いたオールにも気が付き、やはり殺人は疑いようのない事実かと。
直後の談話中にバレンタイン警部補がやってきて、てっきりブラウン神父が連絡したのかと思いましたが、スージーからアダムズ夫妻が事件前に口論していたという証言を得て、殺人の動機が成立してしまったという訳です。
アダムズ大佐は殺人の容疑をかけられそのまま連行されたわけですが、アン・マリーの弟ジェームズは出会ったばかりのフェリシアと燃え上がったり、娘のルビーは障害の多い恋人からアリバイを証明してくれと頼まれていたり。大佐は大佐ですぐに釈放になっています。
軍服に身を包んで葬儀に現れた大佐はブラウン神父から厚意で提案された棺を担ぐ役を丁重に辞退しており、フェリシアから大佐は背中に古傷があるから棺を担げないのだと聞かされたブラウン神父は、それじゃあオールを振り回して妻を殺すような真似も出来ないはずだと気が付きました。
葬儀が終わると遺言状が読み上げられ、親友だったフェリシアには数点のアクセサリーを、愛娘のルビーにはトゥルーラブ家の家宝“飛ぶ星〈フライング・スター〉”というまばゆいネックレスが贈られます。
そして、残りの財産の全ては教会に寄付をすると書かれており、ジェームズとブラウン神父の双方が正反対の驚きの表情になる事に。
遺産などいらないと話すジェームズですが、さすがにやせ我慢では??姉のための追悼劇を提案するのも妙です。
ブラウン神父も容疑者をジェームズに絞っており、スージー調べではジェームズが空港から直接来たのだと話していたあの日にナイロビ発の便は無かったことも分かります。
しかし、犯行時刻にナイロビで警察署長と食事をしていただとかで容疑者候補から外されたジェームズ。
フェリシアに愛を囁いていたはずのジェームズは、彼女が大佐と不倫をしていて、親友でもあるその妻を殺す動機があったと証言したらしく、追悼劇の場にやって来たバレンタイン警部補。
27センチの足に対し、借り物の30センチの靴しかないと困っていたジェームズに27センチの靴を貸してやっていたフェリシア。
劇中にもジェームズ用の靴が無くなり、スージーに用意させようとしたところ、屋根裏に20年間ずっとあった彼の靴だと差し出されたのは30センチの革靴。靴の中にはジェームズ・トゥルーラブの名入りで、足が3センチも縮むはずがないというスージーの言い分ももっともなもの。
目の前の男は一体誰なのか、ゾッとする真実に気が付きかけていたフェリシアですが、そのまま劇の出番になり、紛らわしい寸劇のせいで混乱に陥っている間に金庫の中に入れておいた“飛ぶ星”が盗まれてしまいました。
犯人として捕らえられたジョンですが、“飛ぶ星”は出て来ず。
スージーに言い寄っていたチャランポラン風なフェリシアお抱えの運転手〈シド〉に頼んで、“屋敷から出て行った女”を追うブラウン神父。
列車の中でその女を見つけ出し追い詰めると、それは女装したジェームズで、正確に言うとジェームズ・トゥルーラブのフリをした別人です。
アダムズ家に長年仕えていた乳母の息子〈ショート〉の逆恨みによる犯行でした。
恨みがましい表情の女装した男という絵面が長らく続くのがシュールです。
根からの極悪人ではないショートですが、一見豪華な暮らしぶりに見えたアダムズ家もまた貧乏だったという内情がダブルでやるせない。
ダイヤを返して遺族に誠意を示すよう諭したブラウン神父の意に反して、ショートはそのまま列車から飛び降りて逃げてしまい、タイミング悪く走って来た別の列車に突っ込んで轢かれるという踏んだり蹴ったりな最期を迎える事に。。
慌てる様子のないシドは、ブラウン神父にそもそもあの“飛ぶ星”も偽物だと言います。
首が回らないほど借金まみれになり、10年ほど前本物の“飛ぶ星”は質に入れられ、ルビーの手に渡っていたのはガラス製の模造品だったのだと打ち明けたアダムズ大佐。
唯一の希望がルビーの結婚だったからこそあんなにジョンとの関係を反対していたそう。
ブラウン神父は大佐へ手を差し伸べる事も忘れずに、負債と化した屋敷を手放す事で自由を得て、たとえ一文無しだとしても義理の息子ができる事を受け入れて祝福すればいいのだと背中を押してやりました。
本物のジェームズもやって来て、皆に祝福されながら結婚式を挙げられたルビーとジョンにとってはめでたい結末です。
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