エピソード3『狂った形』“The Wrong Shape”
あらすじ
ブラウン神父は、レナード・クィントン主催の詩の朗読会に招待される。屋敷には妻マーサの他に、レナードの愛人と噂されるバイオレット、弁護士のハリスがいた。朗読会が始まり、バイオレットはレナードとの関係を匂わす詩を読み、動揺したマーサは席を立つ。
ネタバレ感想
〈レナード・クイントン〉の詩の朗読会があり、主催者からのたっての希望でブラウン神父を招待しにやってきたレディ・フェリシア。
マッカーシー夫人もその名に食い付くほどの有名人なのか、はたまた夫人が“ソネット”と呼ばれる14行詩マニアなだけなのか。
変わり者のレナードには様々な噂があり、精神を病んでいるとか、妻は主人の信仰のせいで外出すら出来ないとか。
今日も今日とてもお洒落にディオールの真っ赤なドレスを着こなすレディ・フェリシアは花嫁学校まで経営しているそうで……どこまでも華やかなご婦人です。
朗読会は、列車が止まったことで少人数の集まりになると言うのに、ブラウン神父らを出迎えたピチピチに若いアラビアンな美女〈バイオレット〉はレナードの愛人だそうで、本妻〈マーサ〉は見るからに精神的不調をきたしているような雰囲気。さらに弁護士事務所を持つ〈ハリス〉はのっけからフェリシアに無礼な態度で、楽しい会とは程遠くなりそうな予感が。
信仰も異なるブラウン神父をわざわざ呼んだ理由は、自分にもしものことがあった際にはカトリック教徒である妻を神父に頼みたいという考えがあったからだそう。
いざ朗読会が始まっても不穏な空気はますます濃くなり、何かに耐えかねた様子の妻がその場を出て行ってしまい、レナードもそれを追いかけていって、残された面々は何とも言えない気まずさ。
バイオレットの影響なのか、どうやら元々は開業医をしていたレナードがヒンドゥー教に傾倒している事だけは分かりました。
その部屋に戻ってきたのは意外にもマーサ1人で、具合が悪くなってしまったレナードは休むからその間散歩でもしていろ、とのこと。
医者を呼ぼうとしても、ブラウン神父がレナードに会いたいと頼んでも、頑なに会わせようとしないマーサは怪しすぎます。
散歩中に見かける事になる、マーサいわく庭師で、レナードいわく霊的助言者のインド系の男〈ウメシュ・バルマ〉がこの家庭を複雑にしてしまった元凶のようですね。
もう既に死んでいるものと思っていたレナードは実はまだ生きていて、彼の描き上げた絵をこっそり見てしまい、何時間もモデルをした自分ではなくマーサの絵が描かれている事に気がついて激怒したバイオレットに叱責されております。
その直後、庭の散歩から戻ってきていた一行は首を吊って亡くなっているレナードを発見。
そばにあった遺書には『私は自殺します』なる走り書きが。自殺する人間が自殺するという宣言だけを残すものでしょうか?
事態を知って取り乱すバイオレットに対し、マーサとウメシュの冷ややかな目。
バレンタイン警部補もやってきて、書斎で何やら調べ物をしていたブラウン神父は、マッカーシー夫人に重大発表があるため皆を客間に集めるよう指示します。
「誰も帰ってはならないし、単独行動も禁止です」と付け加えた一言で、密室殺人の定番かのような雰囲気が出て来ました。
レナードは左利きのはずが、首にかけたロープの結び目は右が上になっていたことからこれは自殺ではなく他殺だと明かしたブラウン神父。
マーサは1年前に産まれて間も無い我が子を亡くしてから失意に暮れていたらしく、しかしどうしてブラウン神父はそこに気がついたのでしょう。
その子は産まれつき奇形だったそうで、好奇の目に晒させないよう存在自体を隠蔽して隠し通してきたそうです。
妻に言葉をかけることなくインドへ発っていたレナードが戻ってきてからすぐに娘は亡くなり庭へ埋葬したのだと話すマーサ。
そこからは一つ屋根の下に住んでいても別居状態だった夫妻。今朝の朗読会で読んだ詩が、我が子への愛情表現だったと初めて気が付いていたからあんなに挙動不審で色々と隠そうとしていたのか。
レナードが医者を辞めた理由も、待望の妊娠だったのに悪阻が酷くて流産しないかと心配していたマーサに処方したドイツの薬が悪かったのだと自分を責めたからだった、と。
アリバイがなく動機があるマーサに疑いの目が向けられると、ハリスは黙っていられず自分が1人で寝入ったレナードを吊るして遺書を捏造したと自白します。
しかし、実際にはレナードは既に自殺の木の実を利用した服毒自殺を実行した後で、ハリスが眠っているだけと思っていたのは既に遺体だったのです。
マーサへの熱い思いがハリスの全ての言動の動機だったわけですが、我が子を亡くしたという複雑な事情を知らずに彼女がただただ夫を嫌っているのだと勘違いしていたのは考えが足りなかったようですね。
大量に溜め込んだ睡眠薬で後を追おうとしていたマーサはブラウン神父に説得されて、生きる希望を取り戻してくれました。
明らかに怪しかったウメシュはというと、娘が亡くなった事を知っていて黙っていただけで、わりと善良なだけの人間だったのは意外です。わざわざインドから住み込みでこの家に来ていた理由がいまいち納得いきませんが。
同じく愛人バイオレットの存在も、レナードの一時の気の迷いが拗れた結果なのでしょうか。
司法解剖で自殺と判明すればハリスはすぐに釈放で、遺体とは言え殺意を持って実行に移した行為に対する罪というのは無いものなのかぁ。命拾いしましたね。
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