エピソード8 “The Wayward Girls”
あらすじ
ラングレー・ホール女子少年院で講義をすることになったバンティ。ブラウン神父と一緒に少年院へ行くとワトソン院長とハリス副院長に歓迎される。講義のあとの昼食会で、バンティはバッグの中にあるはずの手鏡がないことに気づく。ワトソン院長が少女たちのポケットを調べるとブレンダのポケットから手鏡が出てくる。ブレンダは盗んでいないと言うがワトソン院長は信じず…
ネタバレ感想
ようやくバンティの再登場です。
時速160キロも出しておきながら家族のコネで罪を逃れたバンティに、奉仕活動で償うよう言い聞かすブラウン神父。
その奉仕活動とは、ラングレー・ホール女子少年院でのエチケットやマナーに関する講義でした。
〈ワトソン院長〉と〈エミリー・ハリス副院長〉に出迎えられるブラウン神父とバンティ。
最古参の職員の1人〈ヘレン・ディレイニー教官〉は、教育方針に物申し立てたげでした。
普段は仲良しの〈ケイト・グドール〉とケンカをして嘘をついた事で閉じ込められている〈ブレンダ・パーマー〉も出してやってはどうかと進言したハリス副院長。成り行き上いかにもトラブルメーカーな存在のブレンダは解放されますが、客前で院長の面目を潰したとして後でお説教される雰囲気のハリス副院長が心配です。
講義中のバンティの荷物はワトソン院長が見張っていたはずが、講義終了後の昼食の席で持ち物の中から手鏡が無くなっている事に気が付きます。
まだどこかに置き忘れたのかと探している最中にディレイニー教官はさも誰かが盗んだと言わんばかりに院長へ報告し、院長はその場で少女達全員が立たされ手を出すよう指示して教官に全員のポケットを調べさせました。
結果、ブレンダのポケットから手鏡が見つかってしまい、いくら本人が盗んでいないと訴えても聞く耳を持たない院長は彼女を狭い中庭に放り出して鍵をかけ厳しい罰を宣告。
司祭館へ帰り着いたブラウン神父は少年院からワトソン院長が殺されたと連絡を受け、バンティは車の後部座席に隠れて脱走してきたブレンダを見つけ、少年院に戻りたくない彼女はそのまま逃げてしまいます。えらい事になりました。
マッカーシー夫人不在に続いて、今回はマロリー警部補が休暇中で巡査部長が事件の責任者を担います。
ケイトは、ブレンダが何かを投げ捨てるのを窓から見たと証言。
庭の茂みからはワトソン院長がベルトに付けていたはずの鍵束が見つかりました。
屋根裏部屋以外のどこからも鍵束が見つかった場所を覗ける窓はなく、ケイトに問うと苦し紛れに屋根裏部屋に居たと言い張ります。
ブレンダが見つかり、ブラウン神父が話を聞きに行くと彼女は誰かが鍵を開けてくれて逃げ出したものの、自分に罪を着せるつもりだったのだ、と。現場を見て院長の死因が頭部を強い力で何度もベンチの角に打ち付けられた事だと知っているブラウン神父は、ブレンダが朝から身に付けていた染みのついた制服を着ていて返り血を浴びていない事に着目。
おかげで話の分かる巡査部長は一先ずブレンダの身柄を拘置所から少年院に帰す事に。
相変わらずブレンダと一悶着のあったケイトですが、近隣のベルビル・パーク・ホテルのホテルマンと納屋で逢引きしている所をブラウン神父とディレイニー教官に見つかります。
ホテルマンの〈ジョー・ランドール〉はケイトが少年院に入る前からの知り合いで、空き巣を数回していたけれどケイトが捕まったのを見て足を洗ったのだそう。そして、釈放が決まっていたケイトと結婚する予定だとか。
ワトソン院長はケイトの収容期間を2ヶ月ずつ何度も延ばしてやりたい放題だったらしく、ハリス副院長がこっそり2人の密会を許してくれていたと明かすジョー。
成人していて収容期間も越えているケイトとジョーは愛し合っているし密会を許可するのは寛大過ぎる措置ではなかったとするハリス副院長は、今日をもってケイトを釈放すると決めていました。
仲間に見送られたケイトはラングレー・ホールを後にします。
ハリス副院長曰く、一度釈放された時の受入先で虐待を受けたと話していたはずのブレンダは、決まった仕事先に現れず電車賃だけを持って逃げてまた窃盗で捕まって戻って来た、と。
しかしこれはハリス副院長の嘘で、ケイトも行方不明に。
ディレイニー教官が斡旋を決めた就職先ではなく、低賃金労働者を求める雇用主の元へ送って賃金を直接自分に送金させていたことで、仕事の割に高価な装飾品を持っていたのかと思われたハリス副院長ですが、ネックレスや時計は彼女の話した通り偽物で、ハロッズで売っている高級バッグは貰い物だそう。
実際にこの手を使っていたのはディレイニー教官でした。
ブレンダが以前送り込まれた〈ウェッブ夫妻〉のところへ行ったであろうケイト。
ブレンダが案内してくれてケイトは無事に解放されます。
ウェッブ夫人によればディレイニー教官に賃金を現金で支払っていたらしく、前科のある少女達が賃金を与えられず搾取されたと訴えても誰も信じない現実を利用していたのです。
しかしここからまたどんでんがあり、ディレイニー教官に罪を擦りつけたはやはりハリス副院長。
突然戻ってきて不遇な目に遭ったと訴えたブレンダが邪魔になり、疑念を深めていたワトソン院長を亡き者にしてブレンダに罪を着せる計画を立てて実行していました。
ブレンダをわざわざ解放させて、バンティの手鏡をポケットに仕込んだのも、ジョーのことを通報すると脅してケイトに嘘の証言をさせていたのもハリス副院長です。
血痕を流すために家庭用漂白剤で洗ったであろうネックレスはわずかに変色しており、本物の金だった事が見て取れます。
ハリス副院長は巡査部長に逮捕されましたが、殺害を後悔はしていないようで少女達から搾取した事すら悪びれていません。悔い改めるのは無理そうです。『ブラウン神父』では珍しいタイプのサイコパス思考の殺人犯でした。
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▼次回、エピソード9