エピソード2 “The Maddest of All”
あらすじ
デンバーズ療養所を脱走したフィリックスは、「殺人…」と呟いて意識不明に陥る。サリバン警部補に止められながらも、療養所に不審を抱いたブラウン神父は自ら調査に乗り込んでいく。後日、フィリックスの葬儀が行われるが、フィリックスが突然息を吹き返す。
ネタバレ感想
シーズン2になっても、レディ・フェリシアの事件引き当て体質はお変わりなく。
今回は遺体発見どころか、先ほどまでヨロヨロと歩いていた人物を心配してついて歩いていた矢先に男が倒れてそのまま心停止に陥るという新パターンです。
入院着のまま焦点の合わない目でフラフラヨロヨロ村を歩いていた男は〈フィリックス・アンダーウッド〉で、夫婦揃って長年ミサに来ていないという彼は最後に『殺人』と呟いて亡くなりました。
心臓発作と見られている彼の右手のひらには傷があり、ブラウン神父は何かしらの揉み合いの際に自衛してできた物ではないかと考えているようです。
なんと、フィリックスの妻〈ドロシー〉は、コール・ザ・ミッドワイフでシスター・ベルナデッド改めシーラ役を演じたローラ・メインではないですか!嬉しい再会の気分です。
戦争から戻って別人のようになってしまっていたフィリックスは、弟が戦死したことも重なり、何年も口を利かずに引きこもったままで、ついにたまりかねて「治療を受けないなら別れる」と宣告していたのだそう。
フィリックスが入所していた、戦争神経症の専門病院“デンバーズ療養所”を訪ねて情報収集を試みるブラウン神父。
堅物の〈ファロー看護師〉からは、神父が居ると患者に地獄を連想させるから帰れとあしらわれるも、院長の〈ヘンショー〉には歓迎されて病院内を案内してもらえることになりました。親切過ぎるというのも怪しいんですけどね。
ヘンショー院長は、フィリックスは夢遊病の症状が出たのだと考えているようです。
遅れてやってきたサリバン警部補からコソコソ隠れながら、院長室に忍び込んで患者名簿をくすねて来るわ、神父のくせに聖書の一節もカンニングしたいと分からないわの等身大なブラウン神父(笑)
2日前には脈も呼吸もなく死亡と診断されたはずのフィリックスは、葬儀中に運び出される柩の中で甦り、騒然とする参列者達。
いくら不気味とは言え、夫が生き返った事を喜ばずに自宅へ連れて変えるのも嫌がった妻の反応もまた怪しいか?と思いましたが、実際気味悪過ぎますし、当然と言えば当然の反応かもしれません。その後のフィリックスへの接し方には紛れもなく愛情が感じられましたし、ミステリーもの試視聴中にありがちな、登場人物をすぐに容疑者候補として見てしまう癖がついてしまったようです。
さて、くすねてきた患者名簿から、元患者の〈ベンジャミン〉が予定より1週間早く退院していて、その日はフィリックスが消えた日だったという見逃せない新事実をサリバン警部補に教えて、2人で再び病院を訪ねる事に。
話す言葉は全て聖書の引用という独特な特徴のある女性患者〈サラ・マルグルー〉に話を聞こうとして、病室に不在だった彼女の行方を辿っているうちに、古井戸からベンジャミンの死体が見つかってしまいます。
胸を刺されたベンジャミンは死後2日ほど経っているという医者の見立てで、明らかに何か知っていて告白したそうなサラに話を聞いていたところ、ファロー看護師から引き離されるブラウン神父。
このままでは埒があかないと考えたブラウン神父の、突拍子もない皿の投げ付けはかなりイカれていて笑えます。
衝動が抑えられず入院が必要だと訴える本人と、意外とノリの良いサリバン警部補の助太刀でそのままゴリ押しで入院受け入れされる事に(笑)
キャセロール片手にお見舞いに来たマッカーシー夫人は、大騒ぎするでもなく普通に偽装入院を受け入れた上に鍵を盗むという大役にどこか誇らしささえ感じている様子でノリノリです。
深夜サラの部屋に忍び込むも、彼女は睡眠剤を投与されていて目覚めず、代わりに部屋へ入ってきたのは若い患者の〈ジェレミー〉で、彼はとある部屋の鍵を持っていました。
その部屋では何らかの実験的治療が行われており、録音された音声を聞くとフィリックスとベンジャミンが被験者にされていた際の記録が流れます。
室内にはテトロドトキシンや、幻覚成分のあるシロシビンの瓶が。別の記録からは被験者の2人がシロシビンを10ミリ投与されている事も分かります。
そうこうしているうちに、ブラウン神父の不在に気づいた看護師がヘンショー院長を連れて部屋にやって来ました。
ヘンショーは患者で人体実験をしているどころか、記憶喪失になるという副作用を持つテトロドトキシン調合剤で極限まで呼吸と心拍数を低下させ、魂を浄化によって呼び起こそうとするというとんでもないカルト医師だったのです。
ベンジャミンにフィリックスの弟を殺した兵士を演じさせた上で彼を許すよう迫った結果、錯乱したフィリックスがベンジャミンを殺してしまったのです。治療室の鏡が割れていたのは、その時の揉み合いが原因でした。
そして、フィリックスには記憶を無くすテトロドトキシンを注射し、ベンジャミンの遺体を院長と看護師が井戸へ隠している場面を窓越しに見ていたサラ。
ファロー看護師もこの治療を受けて幼少期の虐待のトラウマが綺麗さっぱりなくなった事で、院長以上にこの実験に傾倒していた、と。
若い患者のことを聞かれて、軍人家族の受け入れもしていると誤魔化していた院長ですが、ジェレミーは実際には院長自身の息子で、『ジェレミーを救いたい』という目的のための実験でもあったようです。
嵐の夜に飲酒運転をした結果事故を起こして妻を亡くし、息子を今の精神的に不安定な状況に追いやったという贖罪のために他の患者でトンデモ実験を繰り広げていた2人。
ブラウン神父に淡々と咎められ、何故だか良心の呵責に苛まれたヘンショー院長によって、危うく改良されたテトロドトキシンを投与されるところだった神父は解放されます。看護師が下手に暴走しなくて命拾いしました。
2人は逮捕されたまではいいのですが、記憶を取り戻したフィリックスはあまりにもとばっちり過ぎて同情を禁じ得ない結末でした。
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