エピソード3 “The Pride of the Prydes”
あらすじ
貴族のプライド家の領地を案内するツアー中、ガイド役を務めるオードリーが矢で射殺される事件が発生する。オードリーは教会でプライド家について調査をし ていて、彼女のおせっかいを疎む人物は多かった。魔女に呪われているという言い伝えのあるプライド家がひた隠す秘密にブラウン神父が挑む。
ネタバレ感想
1488年、魔女裁判なのか、プライド家の領主〈ウドルフ〉に冤罪の容疑をかけられて『男の子孫に永遠の狂気を』という呪いめいた言葉を遺して火炙りの刑に処された女性の回想から。
そんなプライド家と城は今でも村に存続していて、家系図を辿ればプライド家の血縁にあたるも、今は使用人の〈オードリー・ディグル〉は領地を案内するツアーガイドをしおります。
「仰天の真実を知った」と話していたオードリーは、城内を巡るツアーガイドをしている真っ最中、白昼堂々長弓で背中を射られて死亡するというショッキングな事件が。
城の公開日の朝、城を維持するために領地を売ろうとしている当主の〈セント・ジョン卿〉に対して不満爆発の市民が押しかけてきて、業者ではなく小作人に土地を売れと詰め寄る場面も。
セント・ジョン卿の母〈レディ・プライド〉は、根っからの貴族気質というか、傲慢な上流階級の人間という感じで、没落しつつある一族の現状を認めたくもない様子です。土地を持つ事こそが貴族の証、的な意識があるので領地を売る事にも反対しておりました。
そんな一族の唯一の希望の星が、〈ビングリー侯爵〉と婚約しているプライド家の娘〈バンディ〉なわけですが、彼女は今朝にも押しかけてきて父親を相手取って騒いでいた青年〈アラン・アーチャー〉と秘めたる関係を持っています。
甥で相続人にあたる〈ジェイゴ〉と執事の〈ダンビー〉も含めて全員が弓を扱えるという事で、皆のアリバイを訊ねていくサリバン警部補。
ツアーに居合わせて目の前でオードリーの死を見たブラウン神父は、その日の朝に彼女が教会の事務所で調べ物をして真っ青になっていたというマッカーシー夫人からの目撃証言を聞いて、独自の調査を始めました。
オードリーが見ていた1850年代の記録 を見直すと、この町での結婚・出産・死亡が記録されている台帳の2月から11月のページが破られているのを発見。
プライド一族の歴史を本にしようと執筆活動していたらしいオードリーの原稿を借りてきて読んでいると、この一族では多くの人々が皆謎の死を遂げている事も分かりました。
オードリーが調べていたのは10代目のレイフ卿に纏わる歴史で、教区民の結婚や死亡届が残っている教区の公文書館も調べて見ることに。
農家の弁護士だった アランはなんと、執事ダンビーの息子だったのですね。
執事の息子がその家のお嬢様に手を出すというなんとなくありがち風な関係なわけです。
貴族と敵対関係にあったアランは容疑者候補になっており、大量の睡眠薬を誤飲して泳いでしまったために、溺れているところを発見されたジェイゴの件でも、領地を受け継ぐ直系の男子が消えて跡継ぎが居なくなれば、売却の話も無くなるというのが動機扱いされ、重ねて殺人未遂容疑をかけられます。
警察に話していたアリバイの嘘がバレていよいよ犯人扱いされだすアランですが、その時間にはバンディと逢引きしていた事を隠していただけなのです。
自分を守るためにアリバイを話せず殺人犯の容疑がかかっていると狼狽えていたバンディ。
その話を親交のあるマッカーシー夫人に告白するのですが、そんなことよりも結婚式を目前に控えた貴族の令嬢が身分違いの関係で浮気をしていたことの方が問題なようで、「マリア様に何度も懺悔すればあんな男のことは忘れられるわ」と当然のように言ってのけるのは果たしてどうなのか。
この時代そんなものなのでしょうか?これまで、殺人罪は絞首刑と散々言っていた気がしますが、やはり階級の低い男が冤罪で死ぬことになったとしてもそれはそれ、というような扱いだったのか?
フランスで亡くなったまま遺体の送還がなされなかった、ジェイゴの父親〈サイモン〉の死に関する真相が、レディ・フェリシアの夫のツテで発覚します。
妻の喉を切り裂き、その後自身は拳銃自殺で亡くなったというサイモンは、諜報員だったこともあって政府が配慮しての隠蔽だったようです。
一族は精神疾患の遺伝を隠してきたとかで、それがプライド家にかけられた『呪い』という扱いだったのか。
さて、ジェイゴのウィスキーボトルに睡眠薬を混入させた犯人についても、既にブラウン神父は謎が解けている様子で、集めた一族の前で話し続けております。
オードリー殺害時、バンディのアリバイに乗っかっただけのジェイゴにはアリバイがない事に動揺したレディ・プライドは、オードリー殺人の犯人が孫息子で間違いない事に勘づき、それでも孫可愛さに精神科病院で監禁されてしまうぐらいなら、とジェイゴを殺そうとして睡眠薬を混ぜていたのです。
オードリーを殺した動機について、あのサイモンの息子なのだから動機などない、と考えていたレディ・プライド。代々の精神疾患というのはもはやサイコパスレベルの話なのか。
ただ、実は動機はしっかりあって、レイフ卿とメイドの結婚記録を発見して、現執事ダンビーの父親が婚外子ではなく一族の本来の跡継ぎだった事を知ってしまったオードリーが邪魔になり、真実が明るみに出る前に口を封じた、と。
自身の犯行がバレて弓を片手に逃げ回り、ブラウン神父の目の前で城の上から半ば飛び降りるように落ちていったジェイゴ。
自業自得でも、高所から落ちても即死できずに苦しみを味わいながら亡くなるというのは痛々しいものです。
ジェイゴが罪を認めた上で亡くなった事に対し、それではジェイゴに睡眠薬を盛った犯人は誰だ?と当然の疑問を抱いたサリバン警部補。
ダンビーも含めたプライド家の面々は、皆で自身から疑いの目を逸らすためにやった狂言自殺の可能性があると言って、それに納得したサリバン警部補は捜査を終了させました。この流れでレディ・プライドは孫を殺そうとした罪に問われる事なく、ブラウン神父も延々と懺悔を聞いてやって万事解決、というような終わらせ方です。それでいいのか。
ダンビーが後継だと発覚して、当主の証の指輪を手渡すセント・ジョン。こんなあっさりと当主交代になるものなのか。
本人も肩の荷が降りたと言ってますし、ただただ負債を押し付けた感が否めませんぞ。
スキャンダラスな事態になってしまい、普通なら破談間違いなしなところ、自身の立場を危ういものにしたとしても気にせず結婚しようと言ってくれた懐の深過ぎるビングリー侯爵の愛情を蹴って、結局アランとくっつくバンディお嬢様。
そもそもの2人の関係がツンデレ過ぎる節があったので、身分を超えての愛という風に映りづらいところはありました。
やたらと嫌われていたオードリーの死が、そもそも殺されるほどの悪人なわけでもなく、めでたしめでたし、と言えるほどの結末ではありませんが、現実はこんなものでしょう。
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▼次回、エピソード4