エピソード10『トラック10 ロックン･ロールの自殺者（ロックン･ロール･スーサイド）』“Track 10: Rock 'n' Roll Suicide”
あらすじ
デイジー･ジョーンズ･アンド･ザ･シックスは、最後の公演となるイリノイ州シカゴのソルジャー･フィールドで、満員の観客に向けてライブを行う。その運命の日に何があったのかと、その結果彼らの人生がどう変わったのかが語られる。
ネタバレ感想
いよいよ最終話。舞台はバンドが最後の公演となったと言われるシカゴでのステージです。
シモーンはバーニーと引き離されるであろうアティックとの契約を断ったそう。
そんなシモーンの話を聞きながら、これ以上ビリーと一緒に続けられそうにないと打ち明けると、それほどまで辛いのなら続けるべきじゃない、とアドバイスを貰ったデイジー。
ピッツバーグを出る朝、デイジーと見つめ合っていた事に関してとうとうビリーを問い詰めたカミラ。一度だけキスはしたけどそれだけだと言いながら、『愛していない』とは言えないビリーです。
カミラにその場を去られて荒れるビリーの元に鬱憤を抱えたエディが訪ねてきて「存在を無視されるのはもううんざりだからバンドは辞める」と積み重ねて来られたぞんざいな扱いに文句を言って、ツアーが終わったら脱退すると突き付けました。
そして、嫌な感じが過ぎるビリーに売り言葉に買い言葉で応戦して殴られる羽目に。
ほとんどカミラに見捨てられ、ビリーはついにアルコールに手を出してしまいました。カミラが伝言を聞いて心揺れているとも知らず。
荒れるビリーからは「これまでもこれからも何もない」と半ば八つ当たりのように吐き捨てられ、意を決して母親からの手紙を開けて同封されていた古い写真を見て電話してみるも相手は相変わらずで、改めて親子関係が決裂したデイジーもドラッグにアルコールでマイナスの方向へ。
酔っ払ったビリーは公演前からデイジーにキスをし、ステージ中にはヤケクソかのように必要以上に彼女と近い距離で歌い続けます。
堕胎話で心ここに在らずなグレアムとカレンも、ビリーから殴られたアザを作ったままステージに上がったエディも、それぞれ精神状態がぶっ壊れた状態の中、1人淡々と役割をこなすドラマーのウォレンが今となっては癒やしです(笑)
自分はカミラに捨てられたからとデイジーに、酒に、ドラッグに手を出すビリーはなんて情け無いのでしょう。
そんなビリーをビリーらしくないと言って、自分は壊れていたくないのだと止めるのがデイジーだったとは。
本当に必要なのは闇を抱えた同士ではなく、光を見せてくれる存在。つまりビリーに必要なのはやはりカミラなんですね。
ビリーは決して怒りや諦めからステージを途中で降りたのではなく、デイジーに背中を押されてカミラを追いかけるためだったとは予想出来ませんでした。
そして、このインタビュー映像を撮っていたのはビリーとカミラの娘ジュリアです。
シカゴ公演を最後に、バンドを脱退して更生施設に入る事を決めたデイジー。
宣言通り次の日にはバンドを辞めて別の道へ行ったエディ。
カレンに本気の愛を伝えるも玉砕し、これ以上彼女とは一緒にいられず地元に帰ったグレアムはそこで出会った恋人と結婚して幸せな家庭を築きます。
ロックスターになって世界中で演奏する夢を持っていたカレンはその通りに、ウォレンは今でもセッションドラマーとしてアルバムに参加しており、当時の恋人とゴールイン。
シモーンはバーニーとクラブをオープンして時にはステージにも立ち幸せそう。
ビリーはというと、リハビリを終えてセラピーに通い始め、自分を見つめ直す事で何年もかけて立ち直った末にカミラを取り戻せました。
ただ、カミラは病気になって亡くなってしまった、と。
ジュリアは、亡くなる前のカミラにもインタビュー撮影をしていて、今でも憎んでいてもおかしくないはずの相手デイジーに優しい言葉を投げかけ、いつか心の準備が整った時には、ビリーからデイジーに連絡させるよう、そしてデイジーにはそれに応えるよう言い残していました。
2人揃ってまた曲を作れと言うのです。最初の約束がここにきて活きるのか。
ドロ沼地獄のような物語で駆け抜けていった先のラストがこんな爽やかな終わり方とは反則です。
序盤、中盤はまあまあといった感じで、圧倒的に最終話でグッと好きになれるドラマでした。いやぁ〜良かったなぁ。
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