エピソード5『失踪の果て』“Home Truths”
あらすじ
ビルの解体現場から血液の付着した短パンが発見された。持ち主は30年前に行方不明になったドナ・アダムソン24歳と乳飲み子の息子ウィリアム。単なる家出で片付けられた一件に殺人事件の可能性が高まった。当時、捜査を担当したブライアンは二人を発見できなかった30年ぶりの雪辱に挑む。
ネタバレ感想
解体中のビルの床下から鞄が発見され、中には血液が付着した短パンと、母親の〈ドナ〉と姿を消して捜索願が出されていた乳児〈ウィリアム・アダムソン〉の予防接種カードが入っていました。
所轄署の勤務時代に2人を捜索していたのはブライアンからのたっての希望で、サンドラも納得の上UCOSでの再捜査が始まりました。
捜索願の届出人は当時医学生だった夫の〈ポール・アダムソン〉。差別が根強かった時代なので、黒人の妻の失踪事件は大して力を入れられずに上から打ち切りが言い渡されたのだそう。
いまや遺伝学の権威となったポールが妻子殺しの第一容疑者です。
しかし、ポールは当時何故もっと捜査しなかったのだとブライアンをなじり、自分が容疑者だと察して自らDNAを提供すると言い出すほど。
意外にも、エピソード3でデート?したグレッグとこれからも繋がりがありそうなサンドラ。仕事抜きでのランチに誘われておりますが、公安の人間と親しく付き合うというのはアリなのでしょうか?
〈エリック・グラント〉という人物が失踪の前後に、ポールとドナも2部屋借りていた集合住宅の間借り人全員を退去させて購入したので、近隣住民に話を聞けないままに終わっていたことを悔やむブライアン。
エリックを訪ねて元住人リストを入手するも、ポールの名前は載っていません。
ドナの母親とポールは今でも家族として親交があり、義母の金銭面の面倒はポールが全て見ているそうです。
失踪した夏、電話交換手だったドナは育児のために仕方なく退職し泣き暮らしていたのを心配したポールが気晴らしのためにパーティーを開き、母親も娘のためにと孫を預かったのだと聞かされるサンドラ。ポールは人種差別的な両親から勘当すると脅されており、それでも戦ってまで産んだ息子をドナが害するなんて有り得ない、とも。ドナの失踪後には許されて家に帰ったなんて話はポール本人の口から全く聞いていなかった話です。ポールに動機ができたものの、短パンの血は別人のもの。しかも付着の状態から鼻血だそうで、謎が深まります。
失踪当時のポールの証言によればドナの親友だという〈ジル・ブリュワー〉の夫〈リック〉に話を聞きに行くと、捜索願いを出したのは自分だと言うではないですか。話の食い違いがあって、リックが出したのは妻のジルの件で、つまり親友同士の2人が同時に失踪してしまったわけです。
ドナとジルは“ウーマンリブ”の活動をしていたそうで、陰謀めいたものを感じますが、何故こんなにも近しい関係の女性2人の失踪が当時の捜査で見逃されていたのか。別々の所轄署に届けられたとは言えあまりに杜撰です。
ドナの職場の上司は、30年前ドナに中絶を求めたことを黙っており、その事について改めて問うと、時期が悪かったが今では自分の言動を恥じていると言って彼女とポールが映っているホームビデオのフィルムを貸し出してくれました。
ドナの鞄の底からはキンポウゲの一種である絶滅植物の花びらが。当時でも水辺の一部にしか生息しておらず、犯行現場の大きなヒント。
フィルムの映像をチェックしたブライアンが慌てた様子でUCOSのオフィスに駆け込んできて、映像の中にジル、ドナ、ポール、そしてドナと揉めていエリック・グラントの姿が映っていたのです。
エリックは釣りが趣味ということで、犯行現場が水辺だろうという点とも合致。またあの家に戻って聞き込むもシラを切られるばかり。
違法な捜査でもなんでもこいなUCOSというイメージがありましたが、DNAの任意提供を拒否したグラントの吸い終わったタバコの吸い殻を持ち帰ろうとしたクラークがブライアンに止められるなんて……逆だろ。人種的な問題でクラークがドナに肩入れしている面はあるにしても、そこはなんとなく逆だろ(笑)
大工としてアパートを修繕したグラントはドナの家に出入りしており、その一年後に集合住宅をまるごと買い取り裏庭へと増築しています。この明らかに怪しいムーブは、遺体を隠すためではないかと睨むブライアンですが、なにぶん証拠が足りな過ぎる以上下手に動けないのです。
仕事の合間を縫ってグレッグとデートを重ねているサンドラは、5歳の娘がいること、それでも自分と会うのは本気だからということを聞いて複雑ですな。
そんな複雑なデートから戻った矢先に、セラピーを受けるのも出費が嵩むだろうという理由から良かれと思って自己啓発本を勧めてくるブライアンに怒るに怒れないサンドラでした(笑)
さて、話は事件に戻り、ドナの自宅周辺での行方不明者を調べたジェリーは、他にも同時期に消えた女性がいると突き止めております。
ドナの4週間後に失踪届けが出ている〈カレン・ブラウン〉が住んでいた家の現在の家主は大工の〈ジョン・グラント〉で、なんとあのエリックの父親です。
事件は想定よりも大規模なものに発展する懸念があり、べヴァンの痛いところを突いて追加予算をもぎ取ると高性能PCが支給された様子。
おかげでとある画像を拡大してコートに施された刺繍を見てみると、刺繍に使われている銀の糸が赤ん坊の服についていたものと同じだと発見。
拡大した画像とグラントの写真を比較すれば、98%の一致率で同一人物だと認定
グラントを連行し、クラークはグラントの妻〈ケイ〉を説得して捜査への協力に同意させます。
相変わらず容疑を否認し続けるグラントですが、ブライアンがドナの件ばかりに固執して他の女性の失踪との繋がりも問い詰めるべきだと文句を言うジェリー。ジルの件については夫の証言を根拠にグラントを取調べてはどうかと打診すると、ジャックがある見落としに気が付きます。
ジルの夫リックは、ドナの事を妻の友人として知っていたはずなのに、ドナに妻の行方を尋ねていないのです。普通なら妻が姿を消せば失踪届け以前にその友人に聞く事でしょう。
リックの前科を調べれば、失踪より以前に医者を殴った前科が。
ただ、蓋を開けてみると事実は少し違いました。死産を経験して精神的におかしくなってしまったジルは、二度の自殺未遂をしでかしていて入院先の病院で電気ショック療法を受けています。
病院側が本人を丸め込んで治療継続の同意書にサインさせ、鬱の症状こそなくなったものの、別人のようになってしまい、その2ヶ月後には姿を消してしまったという過程が。当時はまだ精神的な病に配慮がない時代で、妻の病歴を話せばまともに捜索してもらえないと危惧したポールはこの事実を伏せていたそうです。
その裏ではケイが家宅捜索中に荷物をまとめて逃げ出しており、何が何やら。
グラント家の床下からはカレンの私物が出てきています。これを突きつけられて、態度が一変したグラント。本当に心当たりがないようで、となると、真犯人は突然逃げ出した妻しかおりません。
ブライアン以外の全員がグラントを犯人と決め付けて、絶好のチャンスに自白を取らなかったことを責めますが、ブライアンには僅かな引っ掛かりがあったのです。汚名返上よりも真実を追求したいブライアンはあっぱれでは?
改めてカレンの私物を検査すると、やはりケイ・グラントのDNAが検出され、なんらかの形で関与したことに間違いありません。
ブライアン自身もまさかケイが真犯人だとは思っていませんでしたが、夫婦と2人の少女が映ったカレンの写真の裏には『ママとパパ、ヘザーと私』と記されています。
カレンの姉〈ヘザー・ブラウン〉と言えば、“双子を殺した子守の殺人鬼”と悪名高い人物。
カレンとケイは同一人物で、殺人鬼を姉に持つという事実を世間から隠してケイとして生きてきた、と。ここまではさすがに想像もつかない結末でした。
そしてジルは、生きていて再婚していたと病院伝いから近況が分かります。離婚すれば居処がバレるので、重婚していたジル。
ドナの最期の時に一緒だったのは彼女で、卵巣ガンで余命僅かなジルは訪ねてきたジャックとブライアンに全てを告白します。
殺しこそはしていなくても、溺れてしまったドナを助けず、通報もしなかった上にベビーカーにいた息子を連れ去ったジル。
息子を死産で失った彼女にとっては好都合だったのかもしれません。その時点では精神病で養子を取る資格を喪失していたから失踪して何とかしようとしたわけです。
そうまでして息子として育てたウィリアムとは結局反りが合わず、16歳の時に出て行かれたきり、イベントごとの連絡程度の関係になってしまったとは皮肉なもの。
ウィリアムに本当の家族を返してやってくれと頼むブライアン。ほどなくして、数十年ぶりに引き上げられたドナの遺体は冥土の土産となりました。
鼻血の付着が電気療法の後遺症によるものだなんて思いもよりませんでした。このエピソードは一転二転する奇想天外な展開尽くしで新鮮な驚きが多かったです。
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▼次回、エピソード6