エピソード1『マーグレイヴへようこそ』“Welcome to Margrave”
あらすじ
リーチャーはジョージーア州の小さな町マーグレイヴを訪ね、殺人容疑で誤って逮捕されてしまう。
ネタバレ感想
小説が原作のクライムスリラーシリーズで、トム・クルーズがジャック・リーチャーを演じた映画版『アウトロー』の方が馴染み深いのですが、原作のキャラクター設定としては小柄で明るいイメージのトム・クルーズ版は正反対で、こちらのドラマバージョンの方が忠実なようです。
新装版 キリング・フロアー 上 (講談社文庫) リー・チャイルド
クライナー財団と根深い繋がりのある田舎町マーグレイヴに辿り着いた〈ジャック・リーチャー〉は寡黙な巨漢でどこかミステリアスな男ですが、ダイナーでピーチパイを頼むというギャップが良いですね。
結局頼んだピーチパイは一口も食べられないまま駆け込んで来た地元警官に殺人容疑で逮捕されてしまいましたが。
現金212ドルとパスポート、フランス軍の古い勲章に携帯歯ブラシだけしか所持品のないジャック・リーチャーは、SNSの類を利用していないどころか運転免許証や住宅ローン等の記録はゼロで本人自体が唯一の存在証明という超ド級の流れ者でした。家も車も携帯すら所持していないとは実に潔い(笑)
警部の〈オスカー・フィンリー〉から会議室に通され、ハイウェイの陸橋のそばで9ミリ弾2発を近距離から後頭部に受けた遺体が見つかった件について聞かされるリーチャー。この殺害の容疑がかけられているのです。
「誰も殺していないから弁護士はいらない」とようやく口を開いたリーチャーは、軍警察の第110特別捜査部隊を指揮した経歴のあるいわば捜査のエキスパート。
話を少し聞いただけで、「3人組の仕業だ。1人は銃に詳しく静かに確実に殺す方法を熟知してる人物、2人目はプロの殺し屋とはまるで違う死体を痛めつける異常者、そして最後はビビって死体を雑に隠そうとしたプロでも異常者でもない大男だろう」とズバリ。それにしてもすんごい腕の太さです。
ハイウェイで今朝歩いているところを目撃された大男というのはリーチャー本人のことであっさり認めますが、死亡推定時刻にバスに乗っていたということが分かるまでは勾留するとのこと。
被害者の靴の中には電話番号と“プルリブス”と書かれた紙切れがはいっており、令状への対応が比較的遅い電話会社が絡んでくる以上しばらくここで足止めになると悟るリーチャーでした。
どんな人物にも幼少期はあるというのは当たり前の事ながら、幼い頃のリーチャーの回想に両親や兄が入ると少し違和感が。ただ、昔からトラブルが寄ってくる体質だったのは変わらないようです。
意外と早く電話番号は照会できたようで、フィンリー警部は女性警官の〈ロスコー・コンクリン巡査〉を連れて番号の主〈ポール・ハブル〉のところへ向かいました。
銀行員で逮捕歴もないやや神経質そうなハブルは、それまで冗談混じりに話していたのに窓の外に不審な車を目にした途端慌てて自分が男を殺したと自白し、細かいことを話すつもりはないけどとにかく自分がやったの一点張りで怪しさしかありません。
フィンリー警部が凶器や隠滅の方法でカマをかけてみればすぐに引っ掛かり、ハブルが何らかの意図でやってもいない殺人の罪を被ろうとしている事は明らかです。
とりあえずハブルは署に連行されてきてリーチャーと入れ替わりで勾留されることに。
腕に付けていた結束バンドを外す許可が出るとカッターを待たずに自力で取り払うリーチャー。腕力(笑)
フィンリーは嘘の自白でしかないと言っておりますが、捜査情報を何でもかんでも明かしていいのか?ハブルが連行されて来た時に、警官の〈スティーヴンソン〉と2秒間も目を合わせていたことを見逃していなかったリーチャーはそれだけでなく、フィンリー警部の人物像についてもその類稀なる洞察力でズバズバ言い当てております。グラスの水の揺れはそういう意味があったのか……。全てが伏線に繋がりそうで一瞬も見逃せないですね。
署から出て行くところだったリーチャーに「中へ戻れ」と指示した警部は スティーヴンソンを呼び出して隠していることがあるなら話すようにと迫ります。ハブルと親戚のスティーヴンソン曰く、昨夜は祖父母の結婚50周年のパーティーを家族でしていて、ハブルとハブルの妻〈シャーリーン〉とも一緒に過ごして2時過ぎに車で送ったとアリバイを証言。ハブルが何故自白したのか分からず戸惑っている様子です。
結局、協力的だったはずのリーチャーまで巻き添えで再度手錠をかけられてハブルと揃って刑務所に収容される羽目に。
良いキャラしている看守の〈タナー・スパイヴィー〉を理詰めで言い負かしてしまうところはさすがです。容疑者なのに(笑)
それにしても起訴されたわけでもなく罪状も固まっていないのに終身刑の極悪人に囲まれての留置生活というのは合法なのでしょうか?恐ろしいったらない。
早速目を付けられたハブルを守ってやると、唯一の頼れる存在に嘘の自白せざるを得なくなった経緯について自ら話し出しました。
厄介な連中から資金運用を無理矢理手伝わされていて、もしヘマをしたら家族の前で磔にしてタマを切って食わせると脅されているのだそう。
その後、囚人から絡まれるも多勢相手に返り討ちにして大乱闘を起こしたリーチャーはハブルと2人で隔離されております。
割と卑怯で悪人に対して全く容赦しないリーチャーは絶対に3数えるまでは待ってやらないのがお約束なのか(笑)
まだ容疑が確定していない2人が入る場所ではなかったはずの危険な監房にわざと2人を入れたスパイヴィーの企みだったり、シャワー室で襲われたことを考えると、何故かハブルだけでなくリーチャーまで狙われていることが分かります。
その頃、警察署ではようやくリーチャーの軍での記録が届き、あらゆる勲章を総ナメにした紛う事なきエリートで、肉体的にも超人的なとんでもない人物だった事が発覚しております。そして監視カメラ映像からバスに乗っていた証拠も上がった様子。
これ以上巻き込まれたくないと釈放されてすぐにこの町から出るつもりだったリーチャーでしたが、刑務所までパトカーで迎えに来てくれたロスコーからの夕食の誘いに食い気味で乗っかります。硬派なんだかジゴロなんだか。
夕食までの空き時間に散歩をし、町中に建っている〈キャスパー・ティール〉の銅像に興味を示していたリーチャー。ふらりと入った散髪屋の店主から、あの銅像のキャスパー・ティールの孫にあたる町長が5年ほど前〈クライナー〉に有利な土地取引を持ちかけたそうで、その見返りとしてクライナー財団が町に投資してくれているから地域一帯が潤っているのだと聞きます。
クライナーの息子で厄介者の〈KJ〉とイカれた甥の〈ドーソン〉とやらは釈放されたリーチャーを尾け回して見張っている様子で、ドーソンはともかくKJの方は思ったよりバカではなさそう。
ロスコーを迎えに警察署に行ってみれば非常に慌ただしく、別の死体が最初の現場近くから見つかって食事どころではなくなってしまったとのこと。
えらくツンデレなフィンリー警部から高圧的に協力を依頼され、遺体安置所に一緒に出向いて法医学的な捜査報告を聞くリーチャー。
遺体の損傷が激しく専門家でもまだ身元判明できていない最初の遺体の写真を見ただけで、被害者はゴムアレルギーで防護服を着た加害者と格闘になった際にアレルギー反応で指先が腫れ上がったこと、歯の治療歴、幼少期における骨折などを捲し立てるのですが、洞察眼のみで言い当てたのではなくこの被害者がまさかのリーチャーの兄〈ジョー〉だったというのにはたまげました。
被害者が兄だと知って動揺するリーチャーに対して、兄弟が揃ってこの辺鄙な町に来たのが偶然だなんて有り得ないと怒鳴りだすフィンリー警部。言い分はもっともです。
リーチャーが繰り返し話していたこの町に来たきっかけでもある〈ブラインド・ブレイク〉という古い歌手がマーグレイヴで亡くなったという話は兄から聞いたことで、ジョーが何の意図もなくこの話をしたとは考え難くなってきました。
リーチャーは関わった人間を見つけて全員殺すと決意。“正義のアウトロー”というサブタイトルを体現し過ぎています(笑)
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