エピソード5『壊滅の予兆』“Duck and Cover”
あらすじ
自分の過去を知ったジョーは、何もかもが信じられなくなる。フランクがレジスタンスに協力することで、フランクとエドの間の溝は深まっていく。自分の身の安全を確保するため、ジュリアナは親しい人を裏切ることになる。
ネタバレ感想
今のところ新鮮さも衝撃もシーズン1の方が圧倒的で面白かったように感じますが、ここから盛り返してくれるのでしょうか。
田上大臣はついにもう一つの世界で生きる妻〈美智子〉と接触しますが、こっちの世界の田上大臣と見た目にも大して変わりがないのか案外すんなり受け入れられております。という事は、こちらの世界線でも田上大臣が存在しているわけで…出勤していて不在なだけなのか、それとも違う世界から同一人物が紛れ込んできてしまった時点で統合されるだとか、とにかく元居た存在が消えてしまうのかどちらなのでしょう。前者なら鉢合わせが楽しみです。
冷蔵庫の中にはアメリカンな食材だらけで微妙な世界の違いが感じられますが、そんな事よりも机の上にあった離婚を申し立てる書類を見つけて心拍数爆上がりだったのではないでしょう。
食事一つとっても、テレビの内容も、ドル札も全てが別世界のものなはずなのに、観ている側としては馴染みある世界観なので、当事者の田上大臣にはもっと取り乱してもらわないと事態の異色さを忘れそうになります。
ジョージ・ディクソンとついに顔を合わせたジュリアナは、サンフランシスコが原爆で壊滅したフィルムを見たことや、それについてジョージが関係していると『高い城の男』が話していた事を伝えますが、当の本人には全く心当たりが無かったようです。
やり手なレジスタンスの雰囲気を出していただけに、何も知らないとは少し拍子抜けですが、サンフランシスコは彼の故郷だそう。
ナチスに寝返った訳ではなくジョージに会いにくるための亡命だったと話し、とりあえずは信じて貰えたジュリアナですが、ジョーにフィルムを渡した裏切り行為に対する汚名返上のためにスミス家と友人に近づけと指示が与えられました。
この命令を飲まなければナチスに協力した報いとしてレジスタンスに殺される未来しかないそうで、ジュリアナに選択肢はありません。
▲前々話の感想で先走ってチラッと書いてしまいましたが、ついに『生命の泉“レーベンスボルン”』についても触れられてきました。
ベルリンを去ろうとしているジョーの元にホイスマン首相がどこからともなく現れて、見せたいところがあると連れて行かれた先が、『生命の泉』施設の跡地。
将来の親衛隊のエリートを誕生させる狙いがあったこの場は、なんとジョーが産まれた場所でもあると言います。
ブルックリン生まれだと信じてきたジョーにこんな出生の秘密があったとは…。
▼レーベンスボルン計画を題材にしたコチラの映画もオススメです。
憲兵隊の調べでジュリアナの行方は掴めたものの、スミス大将の後ろ盾がある事も分かり容易には手出しできない状況を悟る木戸警部。
単身アポ無しでスミス大将の元を訪れた木戸警部は、改めてジュリアナの身柄引き渡しを要求します。
お互いに引き渡しは拒否に終わると分かっているはずなのにわざわざ出向いた木戸の意図について、スミス大将は結局何を聞き出せたのでしょうか?
親友がどんどん危険な連中に洗脳されていき、凶悪な顔付きになって自分をも遠ざけようとしているなんて、命を張って不名誉な罪を被ってでも助けようとしたエドからしたら色んな意味で絶望です。寝取られてますし。
エドはエドで、木戸警部の右腕〈吉田〉から情報収集の駒扱いされており、役立つ情報を提供出来なければエドとフランクを殺すと脅されている様子。
ひとまずヤクザと模造品の取引がある事だけは報告しているようですが、さすがにレジスタンスの片棒を担いでいる事や爆薬の事は話せるはずもなく。
何も動きがなければ密告の必要もなく、板挟みになる事もないというのに、どれだけ必死に止めてもフランクがあの状態ではまたエドまで巻き込まれる事になるしで不運は続きますな。
フランクはと言うと、サラ達に連れられ森の中でひっそりと行われていたカレンの追悼式に参加しております。
改めてレジスタンスの仲間と認められたフランクですが、内心どう思っているのか読めない表情でした。
ジュリアナがスミス家のディナーに招かれている最中に鳴った電話の相手は、ひとまずベルリンに残る事に決めたジョンからのもので、スミス大将もまたジョンの出生を知っていたと隠す事なく教えます。
すぐそばにジュリアナが居るなんて露ほども思わず電話を切ってしまったジョーにもどかしくなりました。
『高い城の男』にも動きがあり、これまで拠点にしていた隠れ家を多くのフィルムごと燃やし、厳選したフィルムだけを持って別の場所に移るようです。
未だ別世界を彷徨う田上大臣は、フラッと入った書店で第二次世界大戦の写真集を手に取ります。
そこには崩壊するナチス勢力や、硫黄島での戦い、かの有名な『エノラ・ゲイ』に、キノコ雲、そして被曝した広島の惨状も。
自宅へ戻ると、これまた死んだはずの息子〈紀明〉がおり、声を掛ければ「世界が終わりそうな時に母さんと俺を捨てて失踪していたくせに!」となんだか憎まれている様子。
と、ここで予想もしなかった衝撃の展開が…!
紀明の妻らしき女性が赤ん坊を抱いて奥から出て来たのですが、なんとその女性がジュリアナだったのです。いやぁ、まさかだなぁ。
田上大臣が不自然なまでにジュリアナをそばに置き親切にしていた理由はちゃんとあったんですね。
冒頭での前言撤回です。シーズン2に入ってマンネリ化するかと思われましたがやはり要所要所でしっかりと盛り上がりと先が気になる展開を見せてくれます。
- 作者:フィリップ・K・ディック
- 発売日: 2012/11/30
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▼次回、エピソード6